提一燈。行暗夜。勿憂暗夜。只頼一燈。
“一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂えることなかれ。只一燈を頼むのみ。” 佐藤一斎「言志晩録」十三条

2011年8月4日木曜日

わたしの(好きな)言志四録 その65

110804

言志録 第65条




古今姦悪(かんあく)を為すの小人(しょうじん)は、皆才、人に過ぐ。
商辛の若きは、最も是れ非常の才子なり。
微、箕、比干の諸賢にして且つ親有りと雖も、其の心を格(ただ)す能わず。
又其の位を易(か)うる能わず。
終に以て其の身を斃して、而かも其の世を殄(た)つ。
是れ才の畏るべきなり。


殷の紂王の極悪非道を詳らかにできないが、
最後には、自分自身のみならず子孫までもが断絶してしまうほどに、
才の限りを尽くして、私利私欲の恣にしたリーダーがあったとのこと。

才智に於いては、如何に優れていても、
これは「小人」である、
世の為、人の為にならない、と。

全体の為に生かされない「才」の(第64条
無念を思う。彼の天命はどこにあったのか?

己の才能を正しく活かせるようになるには、
自らの心を格すこと=修養が不可欠なのだと思う。
周りの助けも大きいが、克己にまさるものはない。

自分の力でコントロールできないほどの、
才の畏れるべきこと、故に、謙虚な者に正しく活かされるべきことを
後の世の我々に伝えるため、
その材料となることが天命だったというか?

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