提一燈。行暗夜。勿憂暗夜。只頼一燈。
“一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂えることなかれ。只一燈を頼むのみ。” 佐藤一斎「言志晩録」十三条

2011年8月7日日曜日

わたしの(好きな)言志四録 その68

110807

言志録 第68条




情に循(したが)って情を制し、
欲を達して欲を遏(とど)む。
是れ礼の妙用なり。


情も欲も、人の社会生活において
ネガティブに語られることが多いものだが、
これのない人生は考えにくいし、
人の心に活力を与えるものでもあると思う。

その情をコントロールし、その欲を抑え込むのに、
実は、「礼」が用いられているという。

情の働きは、一定の方向性があるが、
その向きに沿って従うようにすることで、情を制御する。
欲は、一定の不足感を埋めよう埋めようとするので、
その欲を満たすことで、欲の働きを止める。

情けの流れを妨げず、欠乏・不足をそのままにせず埋めようとする。
しかも、
人間として、恥ずかしくないやりかたで、
人間としての尊厳を失わない形をとるのが、
「礼」の効用であると。

だから、五常(仁、義、礼、智、信)の一つである
「礼」は、ある行動、行為の形をとるのか。

人の心が、動く状態を保ちつつ、
ある礼節にかなった、行為・行動に導いていく。

後の条文で、一斎先生は、
「楽」との対比で「礼」を語り、
また、「礼楽合一」を語る。(第72条) 

人の生き暮らす社会の活力は、
そこで生き暮らす人ひとりびとりが作り出すものである。

今年の東北のまつりをテレビで見聞きし、
「まつり」の妙用を教えられる。

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