提一燈。行暗夜。勿憂暗夜。只頼一燈。
“一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂えることなかれ。只一燈を頼むのみ。” 佐藤一斎「言志晩録」十三条

2011年6月21日火曜日

わたしの(好きな)言志四録 その20

110620

言志録 第20条


人の精神尽(ことごと)く面(おもて)に在れば、物を逐(お)いて妄動することを免れず。
須らく精神を収斂して、諸(これ)を背に棲ましむべし。
方(まさ)に能くその身を忘れて、身(み)真に吾が有(ゆう)ならん。


心や気持を顔面に集中させ、身体の表面に表し過ぎている時は、
外界の事象に反応し過ぎ、物の表面をなでるのみで、行動が的を射たものにならない。
自分の身体であって自分のものでない状態になってしまうとのこと。

背中に一本、軸をもつように、精神を集中させるべきで、
軸足に体重がかかった状態、その時には、
外界に反応し過ぎず、また、自らの身体にも意識が行き過ぎない状態で、
自他の状況に応じた行動ができるという。
自分のからだを意識しない時にこそ、融通無碍に自らのからだを使うことができる。
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあり」に通ずる。

これは心でも同じことだろう。
我=自我=仮己を忘れて、吾=真己=魂に生きる。

ここでも心のありよう、行動の秘訣を、身体の姿勢から説いている。

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