提一燈。行暗夜。勿憂暗夜。只頼一燈。
“一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂えることなかれ。只一燈を頼むのみ。” 佐藤一斎「言志晩録」十三条

2011年6月11日土曜日

私の(好きな)言志四録 その11

110611

言志録 第11条


権は能く物を軽重すれども、而も自ら其の軽重を定むること能(あた)わず。
度は能く物を長短すれども、而も自ら其の長短を度(はか)ること能わず。
心は則ち能く物を是非して、而も又自ら其の是非を知る。
是れ至霊たる所以なる歟(か)。


ハカリも物差しも自分のことを計測できないが、
人の心は自分の善悪の判断をも為し得る。

我が師が伝えてくださるのは、人の心には、
中心に「しん」(心=芯)と呼ぶべき、魂=良心があり、
我々が通常感じる心というのは、
そのまわりにある、コロコロ変わる「ココロ」なのだと。
ココロの是非を判断するのは、芯となる良心であり、
それは、鏡に映る自分(=仮己)を見つめる、もう一人の自分(=真己)がいることに気づくことだと。

自らの使命が何か省察できるのは、この心のはたらき、心のあり方のおかげである。
自らの良心に気づき、その良心のはたらきに、自らをゆだねることができるかどうか、
万物の霊長たる人間としてこの世に生を与えられた自分が、
天の命ずる自らの使命を果たすことができるかどうかが問われている。

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