110721
言志録 第51条
大臣の職は、大綱を統ぶるのみ。
日間の瑣事は、旧套に遵依するも可なり。
但だ人の発し難きの口を発し、人の処し難きの事を処するは、
年間率(おおむ)ね数次に過ぎず。
紛更労擾を須(もち)うること勿れ。
仮に天の使命を得、国家人民の安寧を助ける君主の役割があるとしたら、
その君主が助けに使う道具=鋤(第50条)が大臣であろう。
鋤が鎌の働きをすることはできないし、逆もまたそのとおりで、
鋤には鋤の役割を全うする役目がある。
第一、志ある者には重要事に専念する以外の時間など許されてない(第31条)。
大臣など重職の役割について心すべきことを書き連ねた
「重職心得箇条」が、この10数年後に著されるが、
この長=主を補佐する役割の重要性を教えられる。
それぞれの分に応じた役割、職分が全うされることの重要性が、
幕末の半世紀ほど前に記されていること、
この後、幕末まで書き継がれる四録が、
まさしく変革期における個人のあり方の道標となっていることをおもう時、
天=自然の働きに学び、それに殉じる個人のあり方こそが、
真に歴史を動かすことになると信じることができるのではないか。
最後まで幕臣として生き切った勝海舟や山岡鉄舟をおもう。
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