提一燈。行暗夜。勿憂暗夜。只頼一燈。
“一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂えることなかれ。只一燈を頼むのみ。” 佐藤一斎「言志晩録」十三条

2011年7月31日日曜日

わたしの(好きな)言志四録 その60

110730

言志録 第60条




古人は経(けい)を読みて以て其の心を養い、
経を離れて以て其の志を弁ず。
則ち、独り経を読むを学と為すのみならず、
経を離るるも亦是れ学なり。




真に学ぶ時、「守・破・離」のプロセスを経る。

経=書物、古典を読むことで、養われる心の深さ、豊かさでもってこそ、
広く世事による実学を通して、書物にとらわれない学びを深めることができる。
師は、先人の遺した書物であり、人=師友であり、大自然=天である。(第2条
自分の生き方は、書物に書いてあるわけでないが、
書物を通して耕された心には、
世間や自然の教えに気づき、受けとめることができる。

豊かな心で感受する、天から与えられたわが命の貴さ。
そこから自らの使命、分限に気づき、それに生きようとする志を弁えることができると思う。

その志の灯りで照らしだされる時、
書物はそれまで見せることのなかった、
新たな姿を現してくれる。
さらに深く自らの心を養ってくれる。

これが
30代前半で出会った本書を、
再び、一斎先生が本書を書き記した年齢になって
読み直す理由でもあり、
意義でもあると思う。

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