言志録 第102条
諺に云う、禍は下より起こると。
余謂う、是れ国を亡すの言なり。
人主をして誤りて之を信ぜしむ可からずと。
凡そ禍は皆上よりして起こる。
其の下より出ずる者と雖も、而も亦必ず致す所有り。
成湯之誥(こう)に曰く、
爾(なんじ)、万方(ばんぽう)の罪有るは予(わ)れ一人に在りと。
人主たる者は、当に此の言を監(かんが)みるべし。
国のトップのみならず、あらゆるリーダーにとって、
この殷王朝の湯王の勅語、「万方の罪有るは予れ一人に在り」は、
もって胆に銘ずるべき言葉である。
間違い、誤り、事故、災い、すべて原因があるとすれば、
それは上にいる者の方である。下に原因があったとすれば、
それも上がそれを助長しているか、そう仕向けているからであるという。
これは個々人についても金言である。
他に求めず、自らに原因を求め、自らからこそ変わるのだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿