提一燈。行暗夜。勿憂暗夜。只頼一燈。
“一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂えることなかれ。只一燈を頼むのみ。” 佐藤一斎「言志晩録」十三条

2011年7月25日月曜日

わたしの(好きな)言志四録 その55

110725

言志録 第55条




酒の用には二つあり。
鬼神は氣有りて形無し。故に氣の精なるものを以て之を聚(あつ)む。
老人は氣衰う。故に亦氣の精なる者を以て之を養う。
少壮氣盛なる人の若(ごと)きは、秖(まさ)に以て病を致すに足るのみ。


「酒は穀氣の精なり」(第54条)
「氣」の精髄であるので、
「氣」そのものである神仏魂魄に相通ずるための媒介(なかだち)となってくれる。
若者もそういう思いで、酒を用いようとするが、大抵、狂ってしまうのみ。
自らの足りない「氣」を補う程度に用いるべきと言われてわかるのは、
痛い目に何度もあってからか。

老人の氣を養うためにこそ、酒は役に立つとは、
敬老会での、老男女の宴席の談笑を見て実感する。

少年・壮年には、勿体ないものなのだ、酒は。
精々、老人鬼神に酒をふるまうべし。

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